光線過敏症(こうせんかびんしょう)について

いよいよ鬱陶しい梅雨入りですね。

その中でも、梅雨の晴れ間や夏に向けて日差し(紫外線)が強くなってきている感じはします。そこで、今回は日差しが影響する薬の副作用についてお話しさせていただきます。

薬は、たとえこれまで問題なく使い続けてこられたものであっても、状況が変わると思わぬリスクが牙を剥くことがあります。

多くの患者さんが痛み止めの貼り薬【NSAIDs/鎮痛消炎薬】を使用されています。

一般の方には馴染みがないかもしれませんが、これらの貼り薬には「光線過敏症(こうせんかびんしょう)」という副作用があります。

「光線過敏症」とは、「薬を貼ったり塗ったりした場所に紫外線が当たると、強いアレルギーや皮膚炎を起こすことがある」といった副作用になります。

「光線過敏症」は、発症までに時間差があること、多くの人が外用薬を油断して使っていることなどが原因で大きなトラブルに繋がってしまうことがあります。

外用の消炎鎮痛薬による「光線過敏症」は、薬を使ってすぐに起こることもありますが、場合によっては薬を使い終わってから4週間以上が経ってから発症するケースもあります。そのため、この副作用を避けるためには、薬を使い終わってからも最低4週間は直射日光を避ける(例:使用中は天候に関わらず屋外の活動を控える、または貼付部分を色の濃い衣服やサポーターなどで遮光する)など、根気強い紫外線対策が必要になります。

副作用が起きてしまった際も「4週間近く前の湿布薬が原因である」とはなかなか考えが至りません。そのため「4週間前に湿布を貼っていた」という情報が共有されず、我々にとっても原因究明が難しくなってしまうことがあります。

また、湿布薬は家族や友人間での譲渡が行われやすい薬ですが、こうした不適切な薬剤の譲渡はリスクの高い行為であり、光線過敏症への警戒がより必要となりますのでお気を付けください。

因みに、他人の薬を使って起きた副作用は、たとえ大きな健康被害があったとしても、「医薬品副作用被害救済」の対象にならない可能性が高いことなど、他人の薬を使うことのデメリットを理解いただきくれぐれもご注意ください。