糖尿病データはどんな感じですか?

はじめまして。薬剤師の高木と申します。

最近、朝晩は寒いくらいですっかり秋ですね。皆さん、秋というと?…私はやっぱり食欲の秋です(笑)。そんな影響もあって、この時期は糖尿病の患者さんのデータが悪くなることがあります。

そこで、今回は糖尿病についてのお話です。

糖尿病とはその名の通り「血液中の糖分(血糖値)が過剰な状態」です。現在、日本人の6人に1人がかかっているというまさに国民病となっています。

しかし、糖尿病は血糖値が高いだけで痛くもかゆくもないことが一般的です。その事が患者さんの治療意識を下げる要因となっています。    「糖尿病治療は症状が出てからでもいい。」と考えがちですがそれは非常に危険です。例えば、よく「糖尿病になるとのどが渇く」と聞くことがありますが、その状態になるのは糖尿病がかなり進行してからです。おそらく血糖値でいえば300とか400位の話です。大半の糖尿病患者さんは無症状で過ごされていることが多いです。

ところで、糖尿病の血糖コントロールの指標としてHbA1c(ヘモグロビンエーワンシ―)と言う言葉は聞いたことがあると思います。この他にも血糖値での管理も重要になりますが、今回はそのHbA1cについておおまかに説明させていただきます。

HbA1cとは、                          

*ヘモグロビンは赤血球の中に存在するたんぱく質で、私たちの体の隅々まで酸素を運ぶ役割があります。

*そのヘモグロビンとブドウ糖が血管内で結合したものがHbA1c(ブリコヘモグロビンとも言う)です。

*赤血球の寿命は約120日です。この間ずっと体内をめぐって血管内のブドウ糖と少しずつ結合します。その結合が多い(高血糖の状態)ほどHbA1cも多くなります。

*血中のHbA1c値は、赤血球の寿命の半分くらいの時点の血糖値の平均値を反映します。よって「1~2カ月前」の血糖の状態を表しています。当日の食事や運動など短期間の血糖値の影響を受けません。

糖尿病ガイドラインにHbA1cの目標値が下表のように設定されています。(高齢者用の目標値もあります。)

ここに記載されている、合併症とは色々な状態があります。糖尿病によって全身に張り巡らされている血管が障害されると、多くの臓器に影響が出て様々な合併症が起こります。その中でも「神経」「目」「腎臓」の3つが合併症の起きやすい臓器です。それぞれの頭文字をとって「し・め・じ」と覚えることが多いですが、この順で合併症が出てきます。

*神経;手足のしびれや冷感やこむら返り等の足の症状。下痢や便秘、めまいや動悸(心不全)なども起きることがあります。

*目;糖尿病性網膜症で視力が低下、重症の場合は失明に至ることもあります。

*腎;腎機能が低下し、腎不全から人工透析や腎移植が必要になることがあります。

そうならないように糖尿病初期からきっちりと治療し、血糖コントロールだけではなく、体重コントロールも意識して心血管リスクを低く保っていきましょう。

現在は、糖尿病のお薬も色々な種類があります。     

患者さんそれぞれの病状や生活習慣に合う治療やお薬を選択して提案させていただきます。患者さんお一人だけではなく、私たち医療担当者と一緒に全員で協力してしっかりと治療していきましょう。

糖尿病だけでなく、お薬全般の疑問や要望がありましたらお気軽にお声掛けください。